朝が起きられないくらい寒くて、ベッドから出たくない。体育をいくら頑張ってもあたたまらない。休み時間は教 室でみんなで仲良く暖房器具のまわりに集まって、ぬくむ。イベントはいっぱいあるのについていける気勢がな い。マラソン大会があるから憂鬱になる。でも、そんな雪とか冬風はひどくつらいのに、この冬もがいるだ けでもう幸せになって、楽しく過ごせそうだ。今年の夏はほら、冷房をつけてすこしずつひとつずつ成長しながら オレたち楽しく過ごせたし、きっとまたオレの家で他愛ないはなしに花を咲かせながら、みんなでわいわいしな がら楽しく過ごせるような気が、する。(でもやっぱり、さむいもんはさむいな) 「つなよしの部屋あったかいじゃんなにこれ暖房?」 「あと炬燵もあるでしょ、昨日出したんだ」 「へー、あ、つなよしくん、かわいい彼女のためにあったかホットミルク持ってきてくださーい」 「あったかいならいらないじゃん。つうか自分でもってこい」 「は、わたし夏にも言わなかった?ひとんちの冷蔵庫は開けちゃ駄目なんです」 「オレも言ったよな、オレがいいっつってんだからいいの」 ちっ、とは舌打ちをするとトストスと階段を降りていった。ああ、オレはちっとも成長しないし、もちっと も変わらないし、変わったことといえばあの露出度の非常に高い男を挑発するようなキャミソールから、暖かそう なピンク色のニットになったことくらい。あと髪が前より少し伸びて、大人っぽくなった、。凍っているみたい な月と夜空がとてもきれいに冷たい窓に映っていて、とても透き通っていた。 「ただいま、さみしかったかいダーリン。」 「ぜんぜん。」 「いやだあツッ君、寂しい!折角つなよしの分までホットミルクつくった のに。あ、キッチンかりました。」 「え!事後承諾かよ、母さんいなかった?あ、買い物か」 はオレの部屋に戻ると、すぐ炬燵の上にカップをおいて炬燵布団の中に入り込んだ。は高校生に なったことを意識し始めたのかよく見ると薄い化粧をしていた。唇がひどく潤い、肌は乾燥する季節なのに夏と 同じで血行がよく、すべすべしてる。下の階は寒かったのか鼻の頭が赤くなっていた。の顔はやっぱり 可愛くて、中学校からずっと変わらないまま。はじめて女の子と付き合って、一緒に家へ帰ったり休日はお互い の家に行きあったり、ときにキスしたりいろんなことをしてきたけれど、オレはちゃんとと一緒にすることが できてよかったと思ってる。はあまりふかくは考えてないだろうけど、オレと同じように思っていればいいの に、そう思いながらオレはのいれてくれたホットミルクを飲んだ。 「あま、これ。おまえ砂糖いれすぎだぞ」 「そうかな、わたしこんくらいが丁度いいからなあ。」 「虫歯になっちゃうからな」 「ねえじゃあ、キスしよっか」 「(なんでそうなるんだよ)」 「…だめなの?」 「…一回、だけだよ」 難しいなあ、とか、こういうのって承諾得てやるものなのかなあ、とか下らないよく考えれば単純明快なものば かりなのにオレはこういう行為に及ぶときにはいくらでも緊張するしドキドキするし、いろいろ考えて混乱するし、 心のやり場に困ってしまう。恥ずかしいからって拒否するんじゃオレの気持ちは伝わらないし、彼女だって傷つ く。繋いだ絆は鋏じゃ切れないくらい丈夫なはずだ。だから、緊張してもドキドキしてもいろいろ考えて混乱して も心のやり場に困ってしまっても、を傷つけるのは違う。ねえ、オレはちゃんときみのことを、大切にできて いるのかな。が目を瞑る。去年の冬、いくら手を伸ばしても届かなかったきみがここにいる。暖かい頬に手 を添えて、瞼にキスをした。はびっくりして目をあけてオレをみたけど、オレは笑って目を瞑るように促した。 また手を添えて今度はのももいろの唇にくちづける。きっとオレ、こんな風にいくらキスをしても、いくらでも こうやって緊張しちゃうんだな。夏の頃より遥か長いキスを経て、の瞳はすこし潤んでいた。オレも顔が熱 くて敵わない。はすこし恥ずかしそうに目を反らしている。ほら、こんなにもいじらしくて可愛い。 「わたし、もう帰ろうかなあ?」 「あ、うんわかった、送るよ」 「え?いいよ、もう遅いし」 「遅いから送るんじゃん。今日すごい寒いんだから」 「…じゃあ、お願いします。」 オレは寒さを見越して、マフラーと手袋とをつけてジャケットを着て、完全防寒していた。もマフラーと手袋 に、真っ白いコートをきていたけれど、ミニスカートだったので足がひどくさむそうだった。外に出ると一気に温度 は下がり、オレもも凍えていってしまう。 さっきの恥ずかしさが思ったより抜けず、無言で彼女の帰路を一緒に歩く。寒さにかこつけて手を繋ごうかと考 えているとの掌が戸惑い気味にオレの掌に触れてくる。ああかわいいなあ、っていつも思うのは、こういう しぐさとか行動とかもあるんだなあ、と思った。戸惑っている掌をしっかり握ると華奢な体がびくっと動いて大きな 目がオレの目と合う。そしてにっこり笑う。オレ慣れないよ、中学の頃から付き合ってきたのに、全然慣れない んだから困ってしまう。デートの帰りとか、学校の帰り道とかいつでもなんだけど、離れたくなかった。さっきまで ずっと一緒にいて、あんなに穴があったら入りたい!ってくらい恥ずかしかったのに、どうせ明日も明後日も会え るのに離れたくない。でもきっと、こういうもんなんだろうな。 「じゃあね、つなよし。今度はわたしの家でまったりしよう」 「うん、そうだね。じゃあばいばい」 別れの挨拶はしたのに、彼女と繋いだ手と手は離れる気配は無かった。可笑しいな、とおもっての顔を 見ると、気まずそうに笑った。 「忘れ物した?」 「ううん。あのね、もっと話したいなって思ったのでも!悲しいことにもう真っ暗で寒いので、 ばいばいします。純情少年くん。」 「あ…そっか。オレもそう思ってたけど、寒いのでじゃあね。純情少女さん。」 クリスマス間近だからなのか、の家の門は軽いイルミネーションで光っていた。キラキラ眩しい逆光でミン クの顔がはっきりうつる。オレ、きっと純情少年なんかじゃないな、はずかしいことに。オレのあたまは健全に如 何わしいことや疾しいことばかりかんがえているよ。ごめんね、はそんなこと何も考えてないだろうにな。 「あ、クリスマスプレゼント、楽しみにしててね」 「も楽しみにしといて。絶対よろこぶと思うよ」 「えーほんと?すっごい楽しみ!じゃあ、またね、つなよし」 「うん、またね。」 手を振って踵を返し、家路に着く。さっきまで暖かかった左手はすぐに悴んで、もう横に彼女はいないのだと感じ る。今さっきまでたくさん話したし、共にいたのにも関わらず、もう会いたくなってしまう。どうしようもないな、と思 って別のことを考えるのに、なんでもにつなげてしまってオレはバカみたいだった。 ねえもしかしたらオレたち、変わらないとずっと思っていたけれど、本当は誰より大人へ向かっているのかもしれ ないよ。去年あんなにも恥ずかしかったキスも、いまは何気なくたどたどしくできるようになってしまった。気持ち は劣化するといわれるけど、オレのきみへの思いはいつでも零れそうなくらい溢れているよ 僕等の冬、 純愛詩。 群青色の空に煌めく星が瞬いて、それでも掌は悴んだまま。 オレは幸福だと感じて、きみを喜ばすことばかりかんがえるよ。 |
実はこれの夏verの「僕等の夏、純情詩。」というのがあるところに投稿して あるので暇な人は探してみてくださいな。ちょっと改造して夏のも再投稿する予定です!ここに! わたし実はツナくん大好きなのでちょっとかっこいい大人なツナくんを書いてみました。 ちょっとでもときめいてくれると嬉しいです★(死ね この作品は水嶋*唯様の夢小説投稿作品です。 水嶋*唯様、ご投稿有難う御座いました。 photo/乙女失格 |