ススキの道









 さわさわと風に揺れるススキの道。

 あなたと歩く、大好きな道。



「なぁ、

 あなたと歩くから、大好きな道。

「一緒にどっか行かへん?」

「どっかって?」

「ん〜?そうやなぁ。どっか遠い所」

 ギンは、空の向こうのそのまた向こう……遠くを見ていた。



「ギンと一緒なら、どこに居ても私は幸せだよ」



 さわさわと、ススキが揺れる音を聞きながら。

 何かを思い詰めているギンを、確かに感じながら。

 私は、そんな言葉しか言えなかった。



 他のどんな言葉を選んでも、それがギンを苦しめるような気がして……。

 例えば。

『何を考えてるの?』

『最近、ギンちょっと変じゃない?』

『私を置いて、どこかへ行くつもりなの?』



 そんな事は、言えないと思った。





「あかん……!」

 ギンは突然、私の周りのススキを巻き込みながら私を抱きしめた。

「ギン?」



 抱きしめる腕が、かすかに震えている事を感じつつ。

 私は、ギンの背中に腕を回す。



「何でそんな事言うん?離したなくなるやん」

 選んで口にした筈の私の言葉は、それでもギンを苦しめていた。

が居ない世界なんて、考えられへん」

 その腕も、声も、体も全部。

 何かを怖がっているのが分かる。震えているのが分かる。

 だから。 『それでも、行っちゃうんでしょ?』 そんな言葉をぐっと飲み込んだ。





「ギン、大好きだよ」



 抱きしめる腕に、力が入って……胸が圧迫されて苦しいけど。

 こんなもの、今ギンが感じてる苦しみに比べたら何でもない。



 だから私は、気づかない振りをする。

 そしてギンは、そんな私に気づかないフリを。





 何かが壊れる予感。

 大好きな貴方がいなくなる予感。



 それでも、今は気づかない振りをしていたい。



 一秒でも長く、あなたの腕の中に……









〜あとがき〜

やっぱり、市丸夢が好きv
と言いつつも、なんだか掴み所の無い夢になってしまったと反省中です;
なんかこう、何かが足りない。。。

うーん、勉強不足!

読んで下さって、ありがとうございました!
精進いたします。


この作品は碧露草様の夢小説投稿作品です。
碧露草様、ご投稿有難う御座いました。

photo/M+J