太陽と月 善と悪 美と醜



全てのものは表裏一体 聖人だって悪魔になる可能性は秘めているのだ





じゃあ あたしも“罪人”から“人”になれるのだろうか









道化師の失敗 02









誰もいない教室で


「はぁー…もう12月かぁ…早いなぁ」


と、言ってみる。哀愁も漂わせてみようと、机に肘をついて夕焼けを

見ようとすると

ひょっこりと

あたしの前に黒い影が現れた。


「…総悟…何よ」


若干不機嫌さを露にして問いかけた。


「いやぁ、があまりにも間抜けな面してたもんで」

「はぁー…また“面”ね…。分かったわよもう」

今度はイライラした口調で答えた。

「もう暗くなるぜィ。まだ帰らねーのかィ?」

「……。何か…帰りたくない。家に帰りたくない気がするの」

「帰りたくない気がする?何でィそりゃ」

「知らない」

って、確か叔父さんと住んでるんだよな?」

「そうよー。あたしの両親はどっかに消えちゃったのー。

つーかアンタ、デリカシーないわねホント。そういうこと聞く?」

「そこまで答えてくれるとは思わなかったんでさァ」



フンッ、と鼻で笑ってやった。

あたしの両親は、8歳のあたしを置き去りにして家を出ていった。

それから9年間、叔父さんの家で育てられた。

子供がいなかった叔父さん夫妻は、あたしを本当の娘のように可愛がってくれた。

あたしも、本当の両親のように思ってる。

いや、むしろあたしの両親だ。

そして、二人にはとても感謝してる。



「…総悟こそ、帰らなくていいわけ?」

「家に帰りたくない気がするんでさァ」

「……!…アハハ…何よソレ」



感傷的になっていたあたしの心を和ませてくれた。

何も考えていないようで、さり気なくこういう優しさを出せるコイツが

何ていうか、ちょっと羨ましい。



「よーっし、じゃ帰ろっか総悟!」

「お前と?」

「何よその顔はー。お隣さんでしょ、あたし達。それにあたしが1人で帰って襲わ

れでもしたら、どーすんのよー」

「ったく…お前を襲う馬鹿なんざいやせんぜ…」

とか何とか言うくせに、一緒に帰ってくれる。

やっぱコイツは優しい。







それから他愛もないコトを話ながら帰っていると

前方に見慣れたシルエットが。



「銀八先生!?」

「ん、おぉか。ん?何で沖田が…あ、まさかおたくらデキちゃってんの?」

「「はぁ?んなわけねーだろ(ィ)」」

「そーなの。じゃ、ちゃんオレとデートでもしねぇ?ちょうど商店街の福引き券があるからよ」

「意味分かりません。そんな 映画のチケットがあるから、みたいな言い方やめ

てください。2人でガラガラ回せってか。それにあたし、タバコ吸う人嫌いなんです」

「先生、今俺達ゃ帰宅途中なんですがねェ、邪魔しねェでくれますかィ」

「あん?教師が生徒とコミュニケーションをとるのがいけねーって言いてーのか?」

「アンタのはコミュニケーションじゃなくてただのセクハラでィ」

「ちょっと、何言ってんの2人とも!総悟、もう早く帰ろ!

先生も、禁煙に成功してからまた誘ってください」

先生が、おいおい手厳しいな、何て言うのを聞きながらあたしは総悟を引っ張った。





家まであと10m。





「総悟ー、アンタ機嫌悪くない?どーかしたのー?」

「どーもしてねェ」

「ふーん、あ、そう。じゃ、もう家に着いちゃったしまた明日ね。

今日はアリガト」

「おう」









幸せな気分だった。

門をくぐりながら、明日はトシをからかって、総悟と笑って

神楽ちゃんとお妙ちゃんとお弁当食べて、あ、そうだ。今日桂くん休みだったけど大丈夫かな?

先生にも何か言われそうだなー。



って、1人でアレコレ考えてたら、思わず頬が緩んじゃって。









でも、そんな時に限って悪い予感は当たるものだ。















罪人は 罪人  一度負った罪は消せはしない



そして罪人は  罰を受けなければならない









いよいよシリアスに突入します。
私の精一杯の語彙と表現力で緊迫した場面や
ホッとできる場面を書き分けたいと思います。

が、どうだろう…。

とにかく、キレイに完結することを目標に頑張れ私。

ハードル高いなぁー…。


この作品は天狼様の夢小説投稿作品です。
天狼様、ご投稿有難う御座いました。

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