あー、めんどくせぇ。

何でわざわざ、現世へ魂葬しにいかなきゃならねぇんだよ。





まっさらなキャンパスに、ぽつ、ぽつ、雲が浮かぶ。

空はいつだって、表情を変えていく。

昨日は真っ黒で、真っ暗な、世界の終わりのような雨だった。

その前の日は、雲ひとつない晴れやかな日だった。

あたしは、空を見ることしかできない。

あたしの傍を通り過ぎていく人たちなんて、見たくないから。

……泣いちゃいそうになるから。

ヤダ、また涙が出てくる。なんで、あたしって、こんなに泣き虫なの…?





「ヨォ」

「……だぁれ?」

瞳が涙でぐちゃぐちゃになっていて、上手く見えないけれど、

ちょっとガラの悪そうな人だな、っていうのはわかる。

コワイ。悪い人だったらどうしよう……。





「…………」

「……あの?」

見えているんじゃ、ないのかな? どうかしたのかな?





えっと……なんつーか、今日、俺、魂葬来てよかったかもしんねぇ。

一護の家でもらったビスケットみてぇな、色素の薄い髪。

飴玉みてぇに丸くて、キラキラした、髪と同じ色の瞳。

わたあめみてぇな白い肌。

……俺がこんなこと言うのはガラじゃねぇけど、

全て菓子でできているような女だ。



うわぁ〜〜〜。髪の毛長いなぁ。

ていうか、赤い髪なんて初めて見たよ!

い、イレズミいっぱいだぁ〜〜!!

ヤクザ系の人なのかなぁ? 人相悪いし。





「……あのぉ〜〜」

「おっ、おう!? 悪ィ悪ィ、ちょっとボーっとしちまった」

あ、あれ? いい人っぽい?

「わぁ!! やっぱり、あたしのこと、見えるんだぁ!!」

「お、おう……」

「すごーい!! 今まで、あたしのこと見える人なんていなかったのに」

キャラメルみてぇに甘い声。

決して、キャラメルみてぇに粘っこいモンじゃねぇけど。

「まぁ、俺らはそのためにいるんだしな」

「?? どういうことですかぁ?」

上目遣いで見られると……ちょっと、ヤバイ。





「いや…俺は、まぁ、死神ってやつだ」

「死神? 死神って、釜持って、『ヒッヒッヒ』

って笑うんじゃないんですかぁ?」

「…………それはただの空想だ。実際はこういうのなんだよ」

「で、でも……あたし、死んでいますよ? 死神って、

生きている人を殺すんじゃ…」

「……それも空想」

この女、天然なのか?





「へぇ〜え、そうだったんだぁ…それで、死神さん。

一体あたしに何のようですかぁ?」

「死神さんじゃなくて、阿散井恋次だ」

「あたし、甘海! よろしくね、あびゃりゃいさん!!」

「……」

とびっきりの笑顔で噛まれたら、突っ込むにも突っ込めない。





「あ、それで、あたしに何のようなんでしたっけ?」

「……魂葬しにきた」

「魂……葬?」

「まぁ、成仏みてぇな感じだ。別に地獄に行くわけじゃねぇから、

安心しろ。さ、いくぞー」

の額に、刀の柄を向ける。





「え、え、ええっ!! な、何するのぉ〜〜!?」

「まー、騒ぐな。別に直ぐ終わるしさ」

「あ、あばらいさぁーん!!」

「何だ?」

「あ、あたし、怖いですっ! じょ、成仏、怖いっ!」

「まー、心配するな」

「で、でも……でも……」

「よっし、じゃ、じきに俺が会いに行ってやるから」

あばらいさんが、会いに来てくれる…

それなら……



「怖い……怖いよ

知らない世界に行くなんて

でも……またあなたと会えるなら……」

あたし、成仏するよ。





「いい返事だ」

俺は、の額に柄を当てる。

「あ……」

あたしの体、消えていく。

成仏するときって、こんな感じなんだなぁ。





「あばらいさん」

「何だ?」

「絶対、ぜ〜〜〜ったい、会いに来てくださいよぉ?」

「……おぅ」

「待っている……から」







お菓子な彼女と可笑しな出会い









はい〜〜またまた恋次夢でっす。
友達にシメられることはわかっているんスけど…
何故か書いちゃいます。特別好きなんじゃないんですけどね。
たまには別の人の夢でもかきたいなぁ…。

読んでくださり、ありがとうございました。


この作品は蒼空の雫様の夢小説投稿作品です。
蒼空の雫様、ご投稿有難う御座いました。

photo/ひまわりの小部屋