紅の運命









 ねぇ。

 きっと貴方は知らなかったと思うけど、私はずっと悲しかったんだよ。

 だから、私は私の道を……そう思ったの。なのにね……







「久しぶりだね、クラピカ」

 振り返った貴方の、心底驚いた顔。



……か?」



「ふーん。やっぱり、鎖野郎ってクラピカの事だったんだ」

「何!?」



   私の生きる道は、ここにしかなかった。

 だから、ずっと待ってた……





「いや、そんな事は今はいい!どこに行っていたんだ、!私はずっと

探して……!どうして何も言わずにいなくなったりしたんだ!」

 私は……そう。

「クラピカの傍に、居たくなかったの。それだけだよ」

!」



 見たくなかった。見ていたくなかった……



「クラピカのその目が、復讐なんてくだらないものに染まってくのを、見ていたくなかった」

「私は……」





 だから、逃げ出した。なのに……





が居なくなって、私がどれだけ……」



「心配してたのは、私がクラピカとたった2人の生き残りだから?それとも幼なじみだから?

それとも、一族で決められた許嫁だから?」 「違う!!」





 分かってるよ。分かってる……





「私はを、ずっと、ずっと昔から!」

「じゃあどうして復讐を!?復讐って言葉に縛られて、他には何も見えなくなったのは、クラピカ。貴方よ!」

「私はただ……!」



 どうして……?そんなの、愚問だ。だって、私だって……





「あの日、クラピカの元を飛び出して……誰も私たちの事を知らない所へ行こうと思った。

一人で生きて行く為に、ハンターになった。私は、クルタ族である事を捨てた」

!」



 クラピカが、まるで目を覚ませって言わんばかりに私の両肩を掴んだ。





「復讐なんて言葉も、誇りなんてモノも、全部捨てた。捨てた……はずだった」

 一人で生きる為に。私が私である為に。





「なのに、気がついたら私は……蜘蛛と出会って、情報を売買する情報屋になっていて」

「蜘蛛!?」

「そう。貴方が心の底から憎んでる、蜘蛛」





 運命なんて言葉、信じてなかったのに。



「彼らに出会った時、どうしようもなく胸の内から溢れ出してくる想いを

……見過ごす事は出来なかった。『憎しみ』『復讐』……捨てた筈の言葉」



 私が最も、嫌いな言葉。



「クルタ族である事は捨てた筈なのに、その血が、私を掻き立てた」





 クラピカが、そんな目で私を見るのは……いつぶりだろう。

 その目が、語りかけてくる。『愛している』と。『どこへも行くな』と。





「結局私は、この真っ赤な目を、想いを、捨てきれなかった。クラピカ。貴方と同じ。

だから蜘蛛に最も近い場所で、貴方を待ってた」

「私を、待って……?」





 世界が、震える。

 違う。

 震えているのは、私たち。



「行こう、クラピカ。終わらせよう。終わらせて、帰ろう。昔の、私たちに」





 抱きしめられた体中が、私にささやく。

 ずっと待っていたのは、彼のぬくもりだと。

 彼のこの温かいぬくもりだと。





「ああ。行こう、。全て終わらせて、もう二度と君を離さないと……君のその緋の目に誓うよ」





 これから辿る道が、罪に濡れた道だとしても。

 2人の行く末が、闇の中手探りするような結末でも。



 かまわない。

 もう、迷いはしない。





 この手を、もう二度と離しはしないから。









あとがき

クラピカと言うと、クルタ族関連しか思いつかない単純な私;;
読んで下さってありがとうございます♪
精進しますv


この作品は碧露草様の夢小説投稿作品です。
碧露草様、ご投稿有難う御座いました。