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ユダの涙 深紅のこの瞳に映るもの……それは…… 「一緒に、行かないか?東へ」 何もかも失った貴方の、甘い甘い言葉。 涙に濡れたパクノダを乗せた飛空船と、フヌケタ顔をしたヒソカの他には何もない。風が強い荒野。 あのね、涙が出るのは風が強いからじゃない。 目にゴミが入ったわけでもない。 貴方の言葉が、嬉しいからでもない……。 「美咲。俺は、お前をただの情報屋としてじゃなくて……」 やめて。 もう、それ以上聞きたくはないの。 だから、微笑んだ。 「美咲?」 私の様子を伺う貴方に微笑んで、涙を拭った。 「あのね、クロロ」 鎖野郎に追いつめられそうになった時、仲間が死んだ時、 皆には裏切り者はいないとしながらもクロロは私にだけ言ったよね。 『もしかしたら、俺たちの仲間にユダがいるのかも知れない。調べてくれないか』 私、頷いたよね。 その依頼、受けたよね。 私は少しだけ俯いて、黒いコンタクトを外した。 両目の紅を隠していたものを外して、もう一度微笑んだ。 「緋の……目……?」 驚くのも、無理はないよね。さっきまで一緒だったクラピカと同じ色の目。 「あのね、クロロ。ユダは、あたし」 だから、貴方からの依頼は何も調べてないの。 『全員、限りなく白』 それだけ、伝えた。 「クルタ族の生き残りは、2人。クラピカと、私」 「美咲!」 「クロロは私の一族の仇なの。ずっと貴方を憎んでた。クロロにとっても、 もうあたしは仲間の仇……そうでしょ?」 悲しげに唇を噛み締める貴方に、事実だけを突きつける。 「クラピカに旅団の情報を流してたのも、あたし。貴方をはめる計画にも、 加担してた。その為に、旅団に近づいた」 だってこれが、私の役目だもん。最初から決まってた。 だから、言わないよ。貴方をどう思っていたかなんて。 言えるわけない。 「貴方がどこに行こうと、もうあたしには関係ない」 一族の仇を、愛してしまったなんて。 今もこんなに、愛おしいと思っているなんて。 「そうか……。俺は見事にお前に踊らされたってわけか」 憎んでくれればいい。 恨んでくれればいい。 「そういうこと」 私が貴方を追いかける事が出来ないように。 貴方が私を思い続ける事がないように。 「……まぁ、物語の終焉にはもってこいの展開、か」 そんな風に、笑う貴方を。抱きしめたいと思う私。 「それでも俺は、美咲を愛してる」 「馬鹿だね」 「ああ。……お互いにな」 貴方の背中は見送らない。 きっと貴方も私を見送らない。 私は飛行船へ。貴方は東へ。 これが、最初から決まっていた事。最初から、私たちの道は交わるはずなかったの。 これが運命……違うかな。 これが、私が自分で決めた結末。 |
シリアスな展開だと、ビックリするくらいすらすら書けてしまう私です; その分、ほのぼのなんかは時間がかかりますが。。 さて、お相手はクロロでした。 原作に出て来るシーンそのまま使ったわけですが、本来はこれを長編化して 投稿しようかな?と思ってた作品です。 でも、何故か短編に; 読んでいただいて、ありがとうございました! この作品は碧露草様の夢小説投稿作品です。 碧露草様、ご投稿有難う御座いました。 photo/螺旋胎動 |