「あのさぁー、イルミ」

 イルミとは、私の婚約者。それなりに、イイ男。だけど……



「そうやって私が出かけようとする度に、殺気まき散らすのやめてよ」

 独占欲が強すぎるのが、玉にキズ……





 部屋の中に2人。

 私は、旅の支度を。……仕事だからね。



 旅と言っても一週間程度で終わる仕事だし、この仕事を与えてくれてるのは他でもない、

イルミのお爺様やお父様なのだけど。



「もう帰って来ないんじゃないかと思って」

「だから、何でそうなるの!!」



 今現在、この部屋にはこれでもか!!って程の殺気が立ちこめている。

 常人なら、この気だけで泡を吹いて死んでしまうほどの。



 脅しなんかじゃないのよ?

 私の返答によっては、今すぐ殺すって本気なのよ?あり得ないよね……





「私は、ゼノさんに言われた通りに仕事をこなすだけ!今回の仕事の事だって、

イルミもちゃんと聞いてるでしょっ!」

「そうだけどさ」

 ほんの少しだけ、殺気は薄れてきたけど。

「仕事に行ったまま、戻って来ないかも知れないじゃん」





 これはもう、毎回毎回の事なんだけど。

 イルミは必ずこんなことを言う。何でそう思うのだろう?





「ねぇ、イルミ。私普段そんなにイルミに冷たいかな?私は、この家だってイルミだって大好きだよ?」

「知ってるよ。でも、は気まぐれだから。それにさ、一週間程度の仕事で、

そんなにいっぱい荷物が必要なの?」

「女の子はいろいろ大変なの!」



 毎度恒例の押し問答。

 そんなに言うなら、仕事やめようかな。この仕事、嫌いじゃないんだけど。



が居なくなるくらいなら、今すぐこの手で殺したい」



 それは、イルミなりの愛情表現で。

 分かってはいるけど、そんな事言われて喜ぶ女はなかなか居ないと思う。



「戻ってくるってば!!それに、私がどこかに消えたとしたって、

イルミなら簡単に見つけられるでしょうが!」

「あ。それもそうだね」



 ここまで来て、イルミの殺気がようやく消える。



「うん、じゃあ行ってらっしゃい。

 ころっと変わっちゃってまあ……いいけどさ。

「気をつけて行っておいでよ。それから、帰って来なかったら迎えに行くから。

どこに隠れたって無駄だからね」



「さらっと怖い事言わないでよ!それに、帰ってくるってば!」



 イルミに手を振ってゾルティック家を出る。

 全く……





 もう、何で分かんないかな?

 私の心はとっくにイルミに捕われてるのに。



「ずっと昔から、私にはイルミしかいないんだってば」





 私はとっくに、籠の鳥。



 どこへ行ったって、イルミからは逃げられないんだよ。私の心は。









あとがき 何気に好きです、イルミ。
何故今H×H!?って思う方、ご意見ごもっとも!ですが、好きなんです。
冨樫作品が。。
読んでいただいて、ありがとうございました!


この作品は碧露草様の夢小説投稿作品です。
碧露草様、ご投稿有難う御座いました。

photo/Sky Ruins