何故私には

元居た場所へ帰る翼が

ないのだろうか









空は青く、地には緑が茂り、時の流れは止まることなく

ただ私の存在だけ、置いてけぼりにする。





「よぉ、

「……何か御用ですの? 阿散井副隊長」

「はー、つれねーなァ。俺はただ、可愛い部下と

話しにきただけじゃねーか」

「話すことならありませんわ」

「酷ェなオイ。いいじゃねぇか、ちょっとは付き合え」

「こんなところで話すことなんてありません」

そう。何を隠そう、ここは牢。こんな雰囲気の欠片もないところで

話すことなど、ない。



「…よっし。じゃ、外行くぞ」

「……はぁ?」

「鍵、今開けるかんなー」

「え、ちょ、何しているんですか、副隊長!」

「開錠に決まってんだろ」

「や、やめてください!」

勝手に牢から出したりなんかしたら、責任は

全てあなたにむけられるのに――



「も、もう! 話しますよ、だからやめでください!」

「おー、じゃ、話せ」

……この人と話していると、とても疲れる。

なんでこんな人が私の上司なのだろうか。





「なんで消えた?」

そう言った 阿散井副隊長の目は

とても真剣だった。

「……会ってきたんです」

遠い昔の大切な人に。



「その人、もうじき死にそうで、だから最期にお別れを言いに…」

「その人って、誰だ?」

「……親友です。もう、何十年も昔の親友でした。

彼女は、とても驚いていましたね。『あんた、本当になの?』って」

「その親友には分ったのか? お前のこと」

「ええ。だって私、昔の頃とそんなに外見変っていませんから」

「そっか……」



大切なあの人が覚えてくれていたことが、嬉しい。

もう五十年以上前の姿の私を、覚えていてくれて嬉しかった。



「…で? なんでこんなに長くの間、無断滞在していたんだよ?」

「最期まで看取るために」

「…………」

「言われたんです、彼女に。

、最期の最期まで傍に居て。私の最期を見届けて』

看取るしかないでしょう? こんなこと言われたら」

「……まーな」

「でも、彼女の願いは叶えられなかったんです。彼女の最期を看取る前に、

見つかって、こっちに戻されました」

「…………」

「と、まぁ、これが私の無断滞在の理由です。

さて、もう話すこともないでしょう。お仕事に戻られてはいかがですか」

「冷たいのな、お前」

「あら、冷静と言って頂けませんか?」

「あーそー」

阿散井副隊長は、牢を出て行こうとする。

しかし







「俺、総隊長にこのこと話してくる。お前の罰、

少しは軽くなるかもしんねー」

去り際に、副隊長は、ニカッと笑顔を向けて、走って行った。

「……それよりお仕事しないと、朽木隊長が……」



まぁ、ともかく。

罪が軽くなったら、あの人の魂葬、行こうかな。









翼は見つかりました













恋次夢です。友達からの猛反発を喰らうかもしれない…。甘じゃないから無理に
許してもらえ……ないかなぁ、やっぱり。
恋次夢、書くのは楽しいです♪ 下手だけど…。

読んでくださり、ありがとうございました。



この作品は蒼空の雫様の夢小説投稿作品です。
蒼空の雫様、ご投稿有難う御座いました。