十五夜お月さん まん丸なお月様に、ウサギが見えた。 ぺったん ぺったん モチをつく。 「隊長!見て下さい!今宵の月はとても綺麗」 「せやな〜。うまそうなモチをついてるわ」 「市丸隊長。それはあんまりロマンチックじゃありませんね」 十五夜のお月様が、靜霊邸を優しく照らす。 その光が、今宵は一段と眩しく感じられた。 「月見には、団子やろ?」 「隊長は、花見でも団子ですもんね!」 色気より食い気とは、この事か。 もっとも、色気を本人が意識していないというだけの話で。 市丸隊長は、他のどの隊長達よりも色気があるように思える。 なんて言ったって、この人はモテるのだ。 他の隊の女の子達から、紹介してくれとせがまれる日々。 皆、この笑顔と風貌に騙されるのだ。 「なんや?ボクの顔に何かついてるか?」 「い、いいえ!!」 そして私も、騙されているうちの一人。 「、なんや顔赤いで?熱でもあるんと違うか?」 「だ、大丈夫ですっ!」 この人の本性は、怠け者で冷酷で気まぐれで…… 分かっているのに、一度ハマったら抜け出せない罠のように。 「ホンマに、可愛いなぁ。は」 頭を撫でられて、心臓が大きく高鳴る。 きっとそれすらも、分かっているんだろうな。この人は。 確信犯だから腹が立つ。 「見てみ、。お月さんも笑ろてるよ」 指差した先の満月に、目を向ける。 それは一瞬の事。 私が隊長から意識を月へ向けた時。 ーーチュッーー そんな音と、柔らかい感触。 「えっ……!?」 キス。 「たっ、隊長!?」 「ホンマに、可愛いわぁ」 ケラケラと笑うその横顔が、分からない。 けれど、未だ唇に残るこの感覚は……確かにキスの感覚。 「あかんよ、。無防備すぎんねん」 「そ、そーゆう問題ですかっ!」 「なんや、嫌やった?」 「そーゆうわけじゃ……」 「せやったら、問題ないやんか」 言いくるめられる、私。 市丸隊長は、狡い。 だからほら、ますますこの罠から抜け出せない。 狡い男に捕われた私を……そりゃ笑うよね、お月様だって。 〜〜〜〜〜〜あとがき〜〜〜〜〜〜 またまた市丸夢ですv どうしても物語を頭の中で組み立てていると、相手がギンになってしまう;なぜ?? ほのぼのしたものが書けるようになりたくて挑戦した作品です。 読んでいただけた方、ありがとうございますv v この作品は「碧露草」様の夢小説投稿作品です。 「碧露草」様、ご投稿有難う御座いました。 photo/十五夜 |